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ドナルド・トランプに学ぶマーケティング戦略

 こんにちは、シドロモド郎です。

 ドナルド・トランプが次期アメリカ大統領に当選して久しいですね。ヒラリー・クリントンが勝利するであろうというマスコミの予測を裏切っての当選ということで、世界中に衝撃が走りました。ポリティカル・コレクトネスだとか、メディアの驕りだとか、さまざまな原因が指摘されていますが、そのうちの一つにトランプ陣営のマーケティング戦略の上手さがあると思います。彼らが実際に意識してこのような戦略を展開したのかは分かりませんが、とても効果的なものばかりです。

① 炎上させて広告費を節約

 トランプといえば、数々の過激な発言で有名です。移民の流入を防ぐためにメキシコに壁を作るとか、イスラム教徒を入国禁止にするだとか、滅茶苦茶なことを言っていましたね。当然、このようなことを言えば炎上しますが、これがトランプにとっては追い風でした。

 ひとたび炎上すれば、多くのメディアで連日取り上げられるようになり、否が応でも人々はトランプに関する情報に接触することになります。結果として、トランプは広告費を節約しながら認知度を獲得することができたのです。

② 自己資金だけで活動…他候補との差別化戦略

 アメリカの政治家は、企業などから支援を受けながら選挙活動を行うのが普通です。しかし、トランプだけは違いました。彼は自身が実業家であり、多くの資産を保有していたことから、選挙活動の費用のほとんどを自己資金で補いました。

 この差別化戦略と、前述の炎上マーケティングによって、トランプは自分自身を「圧力団体との癒着が無く、思ったことを正直に話す真っ直ぐな人間」に見立てることに成功しました。

③ 美人娘イヴァンカは広告塔として機能

 選挙の直前、トランプは過去行った女性蔑視発言を暴露されています。しかし、トランプにはイヴァンカという娘がいました。彼女は学生のときからファッションモデルとして活躍し、ペンシルバニア大学を卒業後は父親の会社に入社。彼女は、働く女性の理想像として機能し、美人であったことからトランプの女性蔑視発言を忘れさせるには十分な広告塔となりました。

 マーケティングには3つのBという概念があります。これは、Baby(幼児)、Beauty(美女)、Beast(動物)のことを指しており、広告効果を高める3要素として知られています。この3つのうちBeautyに当てはまるのが、イヴァンカでした。

 

 以上のように、トランプ陣営の戦略はマーケティングの視点から見ても合理的なものでした。また、群集心理の視点から見ても見事です。人は、理屈よりも感情を優先させて動いてしまうものなので、感情に訴えかけるトランプの演説は、さぞ大衆を熱狂させたことでしょう。今後はトランプ大統領の動きに要注目です。

「お客様は神様」 過剰サービスとブラック企業に関する一考察

 こんにちは、シドロモド郎です。

 電通ブラック企業大賞を受賞しました。皆さんも知ってのとおり、昨年のクリスマスに女性の新入社員が過労自殺した事件は、彼女が東大卒のエリートで美人だったこともあり、社会に衝撃を与えました。

 電通は、世界最大の広告会社であり、日本において業界最大手に君臨しています。就活においては最難関企業の一角を占め、内定を勝ち取るのは至難です。一方で、軍隊的な組織風土を持つことでも知られ、日本で最も激務な会社の一つとして挙げられることも多い。

 東京労働局は、電通で過労死が繰り返し起きていることを重く見て、本社に対し強制捜査を執行。さらに、法人としての電通と、自殺した新入社員の当時の上長を書類送検するという異例の事態に発展しています。

 しかし、この事件はあくまで氷山の一角です。日本の企業、特にサービス業に分類される事業を展開している企業の多くで、こうした過重労働が常態化しています。

  • 人身事故による電車遅延のクレーム対応を行っていた南海電鉄の車掌が激怒。職務を放棄し、高架から飛び降りる。
  • ドミノピザがクリスマス限定のキャンペーンを実施した結果、現場の処理能力を超過する注文が殺到し、商品の受け渡しが大きく遅延。一部の店舗では警察が出動する事態に。
  • 佐川急便の配達員(正社員)が路上で荷物を叩きつけている動画がYoutubeにアップされ、物議を醸す。

 以上のように、最近はサービス業の現場に過剰な負荷がかかり、パンクした末に起きた事件が多く報道されるようになりました。なぜ、日本のサービス業でこんなことが起きているのでしょうか。

 それは、「お客様は神様」の精神が支配的な社会だからです

 当たり前ですが、この精神には功罪両面があります。この精神が支配的になるほど、サービスの質は向上し、消費者の便益は向上することでしょう。しかし、今の日本ではサービス業、特に飲食・介護・物流現場の待遇は十分とは言えず、報酬に見合わない過剰な労働を強いられるという事態が起きています。これは、「お客様は神様」の精神の負の側面です。

 欧米では、「このラインを超えたら客ではない」という基準が存在し、消費者の力が日本ほど強くありません。悪質な客に対してはサービスの提供を拒否することが、権利として認められています。海外の観光客が日本の「おもてなし」の精神を褒め称えている様子がよく見られますが、あれは日本のサービスがそれほど過剰なものであることの裏返しといえるでしょう。

 冒頭で述べた電通の事件も、「お客様は神様」の精神によって生まれた激務によって起こってしまったものです。広告会社の業務はサービス業であり、営業はクライアントの無理な要求にも応える必要があります。クライアントの為なら何でもやるという姿勢こそ、電通電通たらしめる精神的支柱であり、同時に過剰サービスの温床なのです。この問題は、電通ほど異常ではないにしても、広告というビジネス全般において見られる構造的問題です。

 過剰サービスによる労働問題が表面化した今、私たちは「お客様は神様」という精神論に基づいた働き方を改める必要があるでしょう。必要なのは過剰なサービスではなく、サービスの提供者と受給者が互いに気持ちよくいられる適度なサービスです。この根深い問題が解決するには、まだたくさんの時間が必要でしょうが、社会全体が過剰サービスに異を唱えつづけることが大切でしょう。

就活で凡人が取るべき戦略とは何か

 こんにちは、シドロモド郎です。

 もうすぐ就活のシーズンですね。

 私は私立文系の凡人な就活生でした。留学したことも起業したこともなく、サークルとアルバイトで大学生活を過ごしてきました。正直、もうちょっと派手なことをやっていたらもっと知名度のある会社に入れたのではないかと思ってます。

 というわけで、今回は就活において凡人がどんな戦略を取るべきかについて持論を展開していきます。対象者は、私のような私立文系・海外経験なし・非体育会の学生です。

 ① 数撃つ戦略が基本

 赤の他人ですが、「電通博報堂以外受けない、落ちたら就活浪人する!」という学生を実際に見たことがあります。彼がきわめて優秀で武器となるスキル・経験を多数保有しているのであれば、それで問題ないでしょう。しかし、凡人であるあなたは決して彼のような―受ける企業の数を絞るような―真似をしてはなりません。

 あなたは凡人であり、優秀な学生ではありません。

 冒頭はかなり極端な例ですが、受ける企業の数を絞って、1社1社にかける労力で差別化しろという人がいます。これは、凡人にはきわめて難しい戦略です。自身のPRする能力がその企業にマッチしているか分からないからです。どれだけ一生懸命アピールしても、企業のニーズに適合しない学生は容赦なく落とされます。武器となるスキルや経験を持たない凡人なら尚更のことです。

 就活とは、企業との相性チェックの繰り返しです。そのため、たくさん受ければ受けるほど内定を取れる確率は上がります。われわれ凡人は変なプライドを掲げずに、大人しくエントリー数を増やしましょう。

 ちなみに、冒頭の彼がその後どうなったのかは知りません。

 ② 業界・業種の選び方

 基本的に、採用人数が少ない業界(テレビ局、メーカー、不動産デベなど)は難易度が高く、採用人数が多い業界(金融、IT、小売、外食など)は難易度が低いです。

 また、業界によって採用されやすい人とそうでない人がいます。たとえば、化学メーカーは旧帝国大の学生を多く採用する傾向があります。また、インフラ系企業やゼネコンは体育会系の学生を多く採用する傾向があります。

 自分の目指す業界はどのようなタイプの学生を多く採用する傾向にあるのか、しっかりと調査をして、勝算があるかどうかを見極めましょう。ちなみに私は化学メーカーはほぼ全滅でしたが、IT系企業ではそれなりに健闘していました。

 ③ インターンを活用せよ

 本気で内定を取りたいのなら、インターンは大いに活用すべきです。企業は「インターンは採用に関係ない」と言っていますが、複数日程のインターンは選考と関係がある可能性が高く、中には参加者のみを対象に早期に選考を実施する企業もあります。

 最近はインターンの重要性がどんどん増しており、事実上の0次選考と化しているところもあります。できれば3年の夏から動き出しておきたいところです。

 

 以上、私が考える凡人の内定戦略です。就活は運と縁であるとよく言われますが、そのような運や縁に巡り合うために、積極的に行動を起こしていってほしいと思います。

『ビリギャル』の成功を真に受けてはならない理由

こんにちは、シドロモド郎です。

先日、1月からTBSで『下剋上受験』というドラマがスタートするというニュースを目にしました。中卒の父親が偏差値41の娘に勉強を教えて、難関中学合格を目指すというドラマで、実話が元になってるそう。

これを見て『ビリギャル』を思い出しました。偏差値30の女子高生が猛勉強して慶應大に合格するという話で、これも実話が元になっています。

努力すれば報われる。両方とも、そんな希望が湧いてくるような話になっています。しかし、努力して勉強すれば難関校に進学できるという論理は、きわめて短絡的であるとともに、危険です。

なぜなら、難関校に進学できるかどうかは、個人の努力よりも、置かれた環境条件によって左右されるものだからです。

これは、文化資本(Cultural capital)という概念で説明することができます。文化資本とは、フランスの社会学ピエール・ブルデューによって提唱された概念で、個人の持つ文化的素養や教養などを指します。文化資本を蓄積した家庭で育った子どもは、幼い頃に接してきた知識・体験と、学校の教科書で学ぶ知識・体験との距離(これを「必要性への距離」と呼びます)が近く、より教科書の内容を吸収しやすい。

一方、文化資本に乏しい子どもが教科書の内容を吸収するためには、「必要性への距離」を克服する必要があります。勉強に取り組む前に、すでに越えなければならない障壁が存在するのです。

ちなみに、『ビリギャル』は成績こそビリですが、実は中高一貫の私立高校に通っていたことが分かっています。一説には名古屋にあるお嬢様学校で、進学校だったと言われています。このことからも、彼女はきちんと成功できるだけの土台を持っていたから成功できたと考えるのが妥当です。

『ビリギャル』だけではありません。東京大学に通う学生の約半数は、年収950万以上の家庭出身です。また、私立中学に通う学生の約半数は、年収1,000万以上の家庭出身です。そして、子どもの学力と親の年収にも正の相関が見られます。

 たちの悪いことに、文化資本は経済資本と同様に世代を超えて継承(再生産)されます。そのため、外部から何らかの手を加えないかぎり、これを止めることはできません。

以上、『ビリギャル』は我々に夢を与えてくれましたが、誰でもその夢をつかむことができるわけではないというのが実際のところです。